シュリンク包装は、商品の保護や装飾、衛生管理を目的とし、多様な分野で活用されています。
適切な装置を選択するには、目的や生産量、商品形状を正確に把握することが大切です。ここでは、シュリンク包装を一部を覆う場合と全体を覆う場合に分け、それぞれの選定ポイントを紹介します。
最適なシュリンク包装を実現するためには、装置の選定だけでなく「使用するフィルムの材質」を正しく選ぶことも非常に重要な要素です。
現在、日本の包装現場で主流となっているのは「PVC(塩化ビニル)」と「POF(ポリオレフィン)」の2種類です。それぞれの特性を理解し、製品や運用コストに合わせた素材を選びましょう。
PVCは、古くからシュリンク包装の代名詞として広く利用されてきた素材です。比較的低い温度で収縮するため、扱いやすさに定評があります。
PVCの最大の利点は、収縮を開始する温度が低いため、家庭用のドライヤーや簡易的なヒーターでも比較的容易に包装ができる点です。
フィルム自体にコシがあり、製品にぴたっと密着しやすいため、ボトルラベルやキャップシールなどの「一部包装」に多く採用されています。また、原材料費が安価なため、初期のランニングコストを抑えたい場合に適しています。
塩素を含む素材であるため、焼却時に適切な処理を行わないと有害物質が発生する懸念があり、近年では環境保護の観点から他素材への切り替えが進んでいます。
また、紫外線や温度変化に弱く、時間が経過するとフィルムが硬くなったり、黄色く変色したりしやすいという弱点があります。長期保管される製品や、輸出を想定した製品には注意が必要です。
POFは、ポリエチレンやポリプロピレンを主原料とした、次世代の高性能フィルムです。安全性と強度のバランスが良く、現在の食品包装や輸出製品の主流となっています。
POFは非常に引き裂き強度が高く、鋭利な角がある製品を包んでも破れにくいのが特徴です。また、塩素を含まないため焼却時に有害ガスが発生せず、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を得ているものも多いため、食品に直接触れる包装でも安心して使用できます。
耐寒性にも優れており、冷凍・冷蔵環境でもフィルムが脆くならず、柔軟な状態を維持できます。長期間保管しても劣化しにくいため、高品質なパッケージを維持したい場合に最適です。
PVCに比べると収縮を開始する温度が高く、安定した仕上がりには高性能なシュリンクトンネル(160℃〜200℃程度)が必要となります。
また、収縮する力が強いため、強度の弱い紙箱や柔らかい製品を包むと、フィルムの圧力で製品が変形してしまうことがあります。この場合は、収縮力を抑えた「ソフトタイプ」のPOFを選択するなどの工夫が必要です。
装置の能力(ヒーター出力)や、包む製品の形状・保管環境を考慮して、最適なフィルム材質を選択してください。
製品の一部、例えばボトルのラベルやキャップ部分をシュリンク包装する際には、生産量と作業効率を考慮して適切な方法を選ぶ必要があります。
| 生産量 | 推奨設備 |
|---|---|
| ~1万本/日 |
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| 1万本~/日 |
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生産量が1日あたり1万本以下の場合、手作業でフィルムを被せる「手かぶせ」方式が一般的です。この方法では、2~3人の作業員で対応可能です。しかし、生産量が増加すると作業効率が低下し、人手不足の課題も生じます。
1日あたり1万本以上の生産量が見込まれる場合、自動化されたラベル装着機の導入が推奨されます。ラベル装着機には主に直線式とロータリー式の2種類があります。
製品の種類が多い場合、段取り替えが頻繁に必要となり、交換部品のコストや作業時間も考慮する必要があります。
製品全体をフィルムで包む「全体包装」を行う際には、生産量や製品の種類に応じて適切な包装機を選ぶようにしましょう。
| 品種 | 生産量 | 推奨設備 |
|---|---|---|
| 多品種少量 | ~1千個/日 | 手動L型、半自動L型(ワークが大きい場合) |
| 単一品種大量 | 数千個/日 | 全自動L型 |
| 単一品種大量 | 1万個~/日 | ピロー型三方シール包装機 |
L型包装機は、半折フィルムを使用し、フィルムの折り目以外の三面をシールする包装機です。手動、半自動、全自動のタイプがあり、多品種小ロット生産に適しています。
原反ロールフィルムを使用し、三面をシールする包装機です。自動で一定の大きさの製品を高速で包装できるため、単一品種の大量生産に適しています。
シュリンク包装の装置選定は、製品の形状、包装範囲、生産量、品種の多様性などを総合的に考慮する必要があります。適切な装置を選ぶことで、効率的で高品質な包装が実現可能です。
シュリンク包装の装置を選ぶ際、最も大きな判断基準となるのが「1日あたり、あるいは1ヶ月あたりに何個の製品を包装するか」という生産量です。
無理に高機能な自動機を導入しても費用対効果が見合わなかったり、逆に手作業に頼りすぎて納期が間に合わなくなったりすることを防ぐため、将来的な増産計画も含めた検討が必要です。
1日の生産数が数個から数百個程度、あるいはサイズや形状がバラバラな製品を扱う場合は、手動で行う低コストな方法が選ばれます。
最も手軽で安価な方法です。製品を袋状のフィルムに入れ、手持ちのヒーティングガンで熱風を当てて収縮させます。
初期投資は数千円からと極めて低く、場所を選ばず作業できるのが利点です。ただし、仕上がりが作業者の熟練度に左右されやすく、均一に熱を当てるには慣れが必要です。
デスクの上に乗るサイズの卓上機で、フィルムのカットとシール(溶着)を同時に行います。シールの後に別途シュリンクトンネルに通すか、ヒーティングガンで仕上げます。
手作業に比べてシールの仕上がりが安定し、1日300〜500個程度の軽作業であれば、このクラスの装置で十分に対応可能です。
1日の生産数が1,000個を超え、毎日安定した稼働が見込まれる場合は、人件費の削減と品質の均一化を目的に自動機への切り替えが必要となります。
コンベア上に製品を置くだけで、センサーが検知してフィルムの包み込みからシールまでを自動で行います。その後、直結したシュリンクトンネルを通過することで完成します。
作業員は製品の投入と回収のみを担当するため、大幅な省人化が可能です。サイズ調整も比較的容易な機種が多く、ある程度の品種変更にも柔軟に対応できます。
同一サイズの製品を、分間数十個から数百個という圧倒的なスピードで包装する量産特化型のマシンです。
フィルムのロスも少なく、ランニングコストを最小限に抑えたい大量生産ラインに最適です。初期の設備投資額は高くなりますが、生産本数が多ければ多いほど、製品1個あたりの包装コストを劇的に下げることができます。
まずは現在の作業時間と人件費を算出し、自動化によってどの程度のコストメリットが生まれるかをシミュレーションすることが、最適な規模の機械を選ぶための鍵となります。
製品に最適なシュリンク包装を実現するためには、事前の情報整理が欠かせません。
導入後に「サイズが合わない」「生産が追いつかない」といったトラブルを防ぐため、以下の5つの重要チェックポイントを確認しましょう。
これらの項目を整理した上で、実際の機械で「サンプルテスト」を行うことが、導入成功への最も確実な近道です。自社の製品が美しく仕上がるか、実際のスピードで運用できるかを、事前にしっかりと検証してください。
下記のページでは、「凹凸のある容器を美しく包装したい」(仕上がり重視)、「シンプルな容器を簡単に包装したい」(効率重視)、「複数の容器をまとめて包装したい」(集積重視)という3つの目的別におすすめのシュリンク包装機をご紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
「凹凸のある容器を美しく包装したい」(仕上がり重視)、「シンプルな容器を簡単に包装したい」(効率重視)、「複数の容器をまとめて包装したい」(集積重視)という3つの目的別におすすめのシュリンク包装機をご紹介します。


※参照元:日本テクノロジーソリューション公式HP(https://pack.solution.co.jp/lp/)
2025年1月10日調査時点