ポリオレフィン(POF)シュリンクフィルムは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)を主原料とする、多層構造を持つ高性能なフィルムです。Polyolefinの頭文字を取って「POF」と呼ばれています。PVC(ポリ塩化ビニル)に代わる安全で環境に配慮したフィルムとして登場し、現在では世界中の包装業界で主流の一つとなっています。
その最大の特徴は、優れた強度と透明性、そして高い安全性を両立している点です。PVC特有の塩素を含まないため、焼却時に有害ガスが発生する心配がなく、食品包装にも安心して使用できます。また、柔軟で引き裂き強度が高く、低温環境でも硬化しにくいため、幅広い製品・流通環境に対応できる汎用性も魅力です。
POFシュリンクフィルムは、その安全性と物理的強度の高さから、食品・非食品を問わず多様な分野で採用されています。
現在の食品用包装材のルールは「ポジティブリスト制度」であり、POFシュリンクフィルムはこの制度に適合する代表的な素材です。
POFフィルムは、主原料であるポリエチレンやポリプロピレン、そして各種添加物が、ポジティブリストに収載されている安全性の高い物質で構成されていることが一般的です。また、塩素を含まないため、PVCで懸念されるような添加剤(特定の可塑剤など)や焼却時の問題もありません。
これらの理由から、POFフィルムは食品包装における「安全な選択肢」として広く認知されています。ただし、どの製品でも安全というわけではありません。食品用途で採用する際は、PVC同様に、必ずメーカーから「適合証明書」等を取り寄せ、その製品が日本のポジティブリスト制度の基準をクリアしていることを確認する必要があります。
POFフィルムは多くの優れた特性を持ちますが、PVCと比較していくつかのデメリットも存在します。導入の際は両方を理解し、総合的に判断することが大切です。
POFフィルムは、PVCに比べて引張強度や耐突き刺し強度に優れています。薄くても強度を保てるため、輸送中の衝撃や鋭利な角による破れに強いのが特徴です。特に複数の商品を束ねる集積包装や、重量のある商品の包装において、その性能を発揮します。
非塩素系の素材であるため、焼却時に有害なダイオキシン類が発生しません。また、包装作業(シール時)にも刺激臭がなく、クリーンな作業環境を保てます。FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可も受けている製品が多く、国内外で食品包装材として安心して使用できる点が最大の強みです。
透明度や光沢もPVCに遜色なく、商品を美しく見せることができます。また、特筆すべきは耐寒性です。PVCが低温で硬く脆くなるのに対し、POFは冷凍環境下でも柔軟性を失いません。そのため、冷凍食品やチルド製品の包装に最適です。季節による物性の変化も少ないため、年間を通して安定した品質を保てます。
一般的に、POFフィルムはPVCフィルムよりも原材料コストが高いため、製品価格も高くなる傾向にあります。初期の設備投資やランニングコストを最優先で抑えたい場合には、デメリットと感じられることがあります。ただし、強度が高いためフィルムを薄くできる(薄肉化)場合があり、それによってトータルのコスト差を縮めることも可能です。
POFフィルムは、PVCに比べてシールや収縮に高い温度(一般的なシュリンクトンネルの設定温度で160℃~200℃程度)を必要とします。そのため、包装機のヒーター容量や設定を見直す必要がある場合があります。また、極端に熱に弱い製品には注意が必要です。
標準的なPOFフィルムは収縮力が強く、商品をしっかりと固定できる反面、強度が低い箱や柔らかい製品を包装すると、収縮圧で潰したり変形させたりする可能性があります。ただし、このデメリットに対応するため、意図的に収縮力を抑えた「低収縮応力タイプ」のPOFフィルムも開発されています。
POFフィルムの性能を最大限に引き出すためには、製品や目的に合わせた適切なスペックの選定が不可欠です。
POFフィルムは強度が高いため、PVCよりも薄いグレードで同等以上の強度を確保できる場合があります。一般的な厚みは12μm~25μmです。
コストと強度のバランスを見ながら、最適な厚みをテストすることが推奨されます。
POFフィルム選びで最も重要な要素の一つが「収縮応力(収縮力)」です。前述の通り、標準タイプは収縮力が強いため、商品の耐久性を考慮する必要があります。
柔らかいパンや強度の低い紙箱などを包装する場合は、必ず「低収縮応力タイプ」を選択してください。そうすることで、商品を優しく包み込むような美しい仕上がりが可能になります。
POFフィルムには、特殊な処理で強度を高めた「架橋(かきょう)タイプ」と、標準的な「非架橋タイプ」があります。架橋フィルムは、シール強度が高く、高速な包装機でも安定したシールが可能です。
また、シールした直後の熱いフィルム同士がくっつきにくい「ホットスリップ性」にも優れています。高速全自動包装機などを使用する場合には、架橋タイプが推奨されます。
ポリオレフィン(POF)フィルムは、その強度の高さや環境性能から非常に優れた素材ですが、PVC(塩ビ)に比べると「フィルム自体のコシ(剛性)が強く、収縮に必要な熱量が高い」という物理的特性があります。
そのため、一般的な一方向からの熱風によるシュリンクトンネルでは、熱の当たり方に偏りが出やすく、素材のポテンシャルを十分に引き出せないケースが少なくありません。
POFフィルムは収縮応力が非常に強いため、熱風の当たり方にムラがあると、先に温まった部分が猛烈に収縮を開始します。
すると、まだ十分に温まっていない未収縮の部分が、先に収縮した部分に強く引っ張られてしまい、行き場を失った余分なフィルムが尖った角のように硬く残ってしまいます。これが、業界で「角立ち(ドッグイヤー)」と呼ばれる現象です。
角立ちが発生すると、見た目の美しさを損なうだけでなく、梱包・輸送時に他の製品を傷つけたり、消費者が手に取った際に指に刺さるような不快感を与えたりと、商品価値の低下に直結します。
POFを完璧に収縮させるには、製品の全方位に対して「タイムラグのない均一な加熱」が不可欠なのです。
POFフィルムの課題を根本から解決し、最高品質の仕上がりを実現するために推奨されるのが、独自の気流制御テクノロジーを搭載した「熱旋風式(トルネード方式)」のシュリンクトンネルです。
従来のトンネルが上下や側面から直線的に熱風を「吹き付ける」のに対し、トルネード方式は計算された気流によって、旋回する熱風が製品を360度全方向から優しく、かつ力強く包み込みます。
この「旋風」が製品の凹凸や複雑な形状にも回り込むため、POFのようにコシが強く収縮タイミングがシビアなフィルムであっても、特定箇所への負荷の偏りを防ぐことができます。
POFフィルムの美しさは「熱の伝え方」で決まります。フィルムを低い温度でじわじわと温めると、収縮ムラが起きて表面が白濁したり、透明感が失われたりすることがあります。
トルネード方式は、旋回流による高い熱伝導効率を誇るため、フィルム表面に対して理想的なスピードで均一に熱を伝えることが可能です。
この「瞬間的な均一収縮」によって、POFが持つ本来の透明度と光沢(グロス感)が最大限に引き出されます。中身の商品の色彩や質感をより鮮やかに、かつ高級感を持って際立たせることができます。
POFフィルムはPVCに比べて収縮温度が高く、一般的な設定温度は160℃〜200℃という高温域になります。
この温度帯を一般的なトンネルで維持しようとすると、ヒーターへの負荷が大きく、外気の影響で庫内温度が変動し、仕上がりにバラつきが出ることがあります。
熱旋風式シュリンクトンネルは、効率よく熱を対流・循環させる省エネ構造を採用しているため、高温域でも温度のドロップ(低下)が極めて少なく、長時間の連続作業においても常に一定の収縮品質を保つことができます。
製品を「ただ包む」のではなく、ブランド価値を「美しく高める」ことを追求するなら、POFフィルムの物理特性を熟知し、その力を100%引き出せる機械選びこそが、包装工程における最も重要な成功の鍵となります。
POFの仕上がりを劇的に変える
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ポリオレフィン(POF)シュリンクフィルムは、強度、安全性、環境性能の三拍子が揃った、現代のニーズに応える高性能な包装資材です。特に食品包装や、企業の環境方針(脱塩素)を推進したい場合には、第一の選択肢となるでしょう。
PVCに比べてコストは高いものの、耐寒性や耐久性といった優れた物性により、幅広い用途で高いパフォーマンスを発揮します。製品を潰さない「低収縮応力タイプ」や、高速機向けの「架橋タイプ」など、多様なグレードの中から、自社の製品と設備に最適なものを選ぶことが成功の鍵です。
「凹凸のある容器を美しく包装したい」(仕上がり重視)、「シンプルな容器を簡単に包装したい」(効率重視)、「複数の容器をまとめて包装したい」(集積重視)という3つの目的別におすすめのシュリンク包装機をご紹介します。


※参照元:日本テクノロジーソリューション公式HP(https://pack.solution.co.jp/lp/)
2025年1月10日調査時点